エルメスの職人技展〜その2 |

作業をされているのは、エルメスの陶磁器の一部を手がけている
リモージュにある製陶会社、ロール・セリニャック社(Laure Sélignac)の職人さん。
作業台のパレットには色見本のようにたくさんの色が勢揃い。
そして筆使いの速いこと、速いこと。下絵に沿ってためらいもなく
すばやく絵の具を置いていきます。
「は、速いですね!」
「ええ、ありがとう。でも、そう? こんなものですよ。慣れていますから」
筆をちょっと置いて、すべての工程を丁寧に説明してくださいました。
まず最初に、デザイン部門が描いてきたデザイン画があがってきます。

器の形を平面化したデザイン画。これだけで美しい絵のよう。
これを、巷でふつうに売っているカーボン紙を使って陶器の上に写します。

そして、デザイン画の色指定どおりに、絵付けしていき、800℃で最初の焼成。

↑このように。細かい色付けは1度目の焼成のあとに行って、同じく800℃で
もう一度焼きます(左側が1度目、右側が2度目の焼成後)。
このあと、背景となる黒色をマットに塗り込めなければなりませんが、
その際には筆ではなくスポンジ(お化粧用のような)を使います。
その前に、描いた文様の部分に黒がのらないようにするため
文様の部分にのみ、ヴェルニというマニキュアの成分に近いものを塗ります。

この部分は黒に染まらず、それ以外のところが黒くなる。これで3度目の焼成。
ヴェルニは焼成後に簡単に剥がずことができます。右側がほぼ完成品。
ここでチェックが入り、必要があればもう一度筆を足して、4度目の焼成をほどこす
こともあるとか。

絵の具はパウダー状のものに特殊な液体をそのつど混ぜて使います。
ロール・セリニャック社はエルメス社のものばかりでなく、
他社製品も手がけており、もちろんオリジナル製品もオールハンドメイドで
作っています。企業の記念品や、結婚式の引き出物などの注文も多いので、
作業にはある程度のスピードが必要とか。
このような職業に就くためには、素地作りから絵付けまで製陶全般を学べる
学校に入るか、あるいは絵の勉強をし、絵付け専門校やスタージュで経験を積むか、
2通りの方法があるそうです。
いずれにしても、職人芸に長けているフランス女性って、なぜに美貌まで
備わっているのでしょう? この方もおうつくしい…。
次号、第3報でお伝えするクリスタル部門の女性も、素敵な方なんです♪
乞うご期待。